昭和30年代、高度経済成長期の日常を描いた『ALWAYS 続・三丁目の夕日』。本作には当時を忍ばせるプロダクトが次々と登場します。NipponStyleとしても非常に興味深い作品です。実際の撮影ステージにお邪魔して、真の主役とも言うべき、昭和のプロダクトを取材してきました。
2007年11月3日より 全国東宝系で絶賛公開中
http://www.always3.jp/
 
何の変哲も無い「日常」を描くからこそ、そこには「事実」が要求されるのです。だから、映画に登場するプロダクトは、当時実際に使われ今も保存されている実物や、当時を徹底的に検証し緻密に再現されたレプリカです。そのリアリズムにはスタッフの執念すら感じさせられます。皆さんも本作をご覧になられる時は、画面の隅々までチェックして、昭和のプロダクトを堪能して下さい。
ミゼット
  
鈴木オートの社用車で、本作の顔とも言うべき三輪軽トラックです。この車体はMP3という型で、実は昭和34年発売のものなのです。1年前の昭和33年を描いた前作では、まだ発売されていなかったはずです。ただ、昭和30年代を描く「記号」としては、この型しかない!という山崎貴監督の強い要望で特別にタイムスリップされてきたそうです。たしかに刷り込まれた強烈な記憶ってありますよね。動体保存されている車体は、日本でも数台しか存在しないそうです。
テレビ
ナショナル真空管式白黒テレビ T-1447。鈴木オートの居間で、その存在感をアピール。従来のテレビは箱型で、あり合わせの台の上に置かれることが多かったようです。このタイプは、着脱可能なねじ込み式の脚を持っており、お茶の間にテレビの置き場所をしっかり確保しました。
電気洗濯機

松下電器産業製の噴流式洗濯機。手回し式ローラータイプの脱水装置が特徴です。これも鈴木オート所有。映画で実際に使用された洗濯機は、比較的状態の良いものを探してきて、板金加工で新品同様に復元したそうです。水まわりのものということもあり、キレイな状態で保存されているものは、ほとんど無かったそうです。
松下電器産業製のトースター。パンが焼き上がると、自動的に飛び出してくるポップアップ式。電気釜もあるので、鈴木家はパン・米両用の食生活らしいです。
松下電器産業製のアイスクリームメーカーです。冷やしたアイスクリームの素をグルグルかき混ぜます。こんなものまであったとは? 文化水準かなり高いです。
キッチン家具
鈴木オートの台所を拝見。鈴木社長は、頑固一徹ながらも奥様には深い愛情を注いでいるようです。それが証拠に台所には、電気炊飯器や電気調理器などが取り揃えられています。
東京芝浦電気(現・東芝)製ジューサーMX-1型。1952年(昭和27)7月発売。新鮮なジュースを作るために購入したのでしょうか?
電気冷蔵庫
日立製作所(現・日立アプライアンス)製の電気冷蔵庫。ドアはゴムパッキンとマグネットロックで密閉度がアップされています。ドア内側にビン用のポケットがあり、庫内最上段には冷凍庫があり、氷を作ったり、アイスクリームを保存できたと思われます。映画で使用されたものは、洗濯機同様、古い冷蔵庫を復元したものだそうです。
電気炊飯器
東京芝浦電気(現・東芝)製の自動式電気釜と思われます。掃除洗濯と並んで主婦を悩ませていたのが炊飯。朝早く起きて火加減を見なくてはならない過酷なものでした。それを電気釜の自動式スイッチが解決したのです。

鈴木オートの仕事場に置かれている大型ラジオ。松下電器産業製の真空管ラジオBX-275と思われます。

鈴木オートの居間にある松下電器産業製の真空管ラジオ。当時はまだ高価だったラジオを2台も所有しています。
ラジオ
昭和34年のテレビ普及率は伸びていたとはいえ、まだ2割強。放送メディアとしては、まだラジオが主流だった時代です。しかも内部部品は真空管を使用しており、ボディも大きく堂々としています。

駄菓子屋・茶川商店の居間にあるラジオ。日立製です。

理髪店にあるラジオ。沖電気製のようです。

ラビット
ラビット・ジュニア S-71-U型。富士重工業製。医者・宅間先生の愛車です。1955年(昭和30)発売。国産初のスクーター「ラビット」の後継機です。シリーズ初の2サイクルエンジンの採用、国産初のハンドルグリップによる2段変速操作などで注目されました。重心が低いため、安定性と操縦性が良いことが売りでしたが、時速80km以上を出すことが出来、見かけによらずパワフルだったそうです。

鈴木オート内に止めてあった本田技研工業のスーパーカブ。

八百屋の近くにあった三輪車。荷台の形状がユニーク。

鈴木オートの社用自転車。近所はこれで行き来します。
昭和のプロダクト満載の三丁目商店街
夕日町三丁目は、鈴木オートや駄菓子屋・茶川商店以外にも、乾物屋、荒物屋、薬局、青果店、酒屋、電気店、たばこ屋などが並んだ、なかなか立派な商店街です。映画に登場する店舗には、実際にプロダクトが並べられています。メーカーや商店に現存していたもの、収集家によるコレクションなど全国からかき集めてきたそうです。
駄菓子屋・茶川商店の店先。前作を見たコレクターの方から趣味で集めた昔の玩具を大量に保管している旨を伝えたお手紙をいただいたそうです。美術スタッフは後の祭と残念がっていたのですが、続編を作ることが決定し、早速協力をお願いしたのだそうです。茶川商店、前作よりもパワーアップしているようです。駄菓子などは、名古屋の問屋さんから購入しているそうです。
荒物屋・万亀堂商店。食器や調理器具、清掃用品、殺虫剤……日用雑貨全般を取り扱っています。
ひとみ薬局のショーケース。当時の大衆薬のパッケージが並んでおります。店内や店先には懐かしい広告ポスターも貼られていました。
 

(C)2007「ALWAYS 続・三丁目の夕日」製作委員会